好みの彼に弱みを握られていますっ!
7.貴方に頼れた理由
 カフェの外。……に出るだけでは何だか落ち着かなくて、私はいそいそと愛車に乗り込んで着信履歴を開いた。

 よく見ると毎日のように日に数回ずつ、くだんの不動産屋から不在着信が入っていたことに気がついて、ゾクッとする。
 いくら仕事がハードだったからって、これはまずいでしょ、と自分でも分かった。

 着歴には実家からのものが不動産屋との間に挟まるように幾度となく混ざっていて、「あー、これ……」って思う。

 私、不在に気付いたうちの何回か、実家からの着歴を見て、不動産屋からの着信もあったのに、ろくすっぽ確認もせずに「何だ、家からじゃん」って放置していたの。


 とりあえず実家は後回しにするとして、不動産屋の方を優先する。

『はい、ペリー不動産です』

 コール数回。私のスマートフォンに度々(たびたび)着信履歴を残していた馴染みの不動産屋は、私からの発信に案外すんなり応答した。

 いや、まぁ今の今までこの不動産屋さんと話が出来ていなかったのは、私がいつもあちらからの着信に応じなかったからなんだけど。


 落ち着いた雰囲気の、柔らかな女性の声音に、内心ホッとしつつ。
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