好みの彼に弱みを握られていますっ!
「何にしても男はキミの元カレみたいなヤツばかりじゃない。そんなくだらない男にフラれたぐらいで自暴自棄になるなんて、もったいないと思いませんか? ――ついでに老婆心承知で言わせてもらいます。これ以上悪酔いして醜態をさらす前に今日は解散したほうがいいんじゃないですか?」

 大人の男性だなぁという噛んで含めるような物言いに、私はグッと言葉に詰まる。

 だって、いちいちごもっともなんだもん!

 でも。

「――あ、貴方には……関係ない、ですっ」

 せめてもの抵抗に、と頑張って彼の方を見て、睨みつけるようにしてしどろもどろで何とかそう反論したのだけれど。


 その人は私の顔をじっと見つめて薄く微笑むと、「本当に関係ないといいね」と意味深な言葉を残して去っていった。
< 9 / 571 >

この作品をシェア

pagetop