俺の気持ちに気づけよ、バ~カ!


終わったな。
俺の初恋は。

璃奈の好きな奴に、
こんな俺じゃ
勝てねぇわ。

世界中のどんな奴にも
負けんじゃねぇ?

だって

この世の中で俺だけが、
璃奈の笑顔を奪い
彼女を不幸にしてしまうから。



涙腺が緩みだす。

好きな女の瞳に映る
最後の顔が泣き顔なんて
俺のプライドが許さなくて、
ギューギュー唇を噛みしめる。


この想いだけ伝えたくて

どうしても伝えたくて

俺は璃奈の頭に手を置くと
強引に引き寄せた。


初めて感じる
璃奈の唇の甘さが

俺の失恋の悲しみを
倍増させる。


俺は、重なっていた唇を
離した。


もう一度、重ねたい。

璃奈の甘い熱を感じたい。

そんな欲望を
振り切りながら。


放心状態の璃奈。

俺は璃奈の耳元に
顔を近づけると

凍り付きそうなほど
冷たい声を吹きかけた。


「璃奈なんて大っ嫌いだ。
 バーカ!!」


それが

恋に不器用な俺にできる

一途な初恋の

終わらせ方だった。








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