俺の気持ちに気づけよ、バーカ!


「もしかして桜ちゃん、
 この後、サッカーの練習が
 入っちゃったとか?」

「違う違う。
 今日明日は完全休み。
 監督が孫とクリスマスを
 一緒に過ごしたいんだと」


そうだったんだ。

あの監督さん
お孫さん想いの
優しいおじいちゃんなんだ。


「それでお墓の後に
 桜ちゃんは
 どこに行きたいの?」

「……」

「桜ちゃん?」

「……」

「聞かない方がよかった?」

「違っ!!」


全力否定するように
片手を振った桜ちゃんは

前髪をかき上げ
うつむきながら
髪をかきむしると


「指輪を……
 買いにさ……」

途切れ声をボソリ。
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