俺の気持ちに気づけよ、バーカ!
璃奈は、袖から手を離した。
俺の右手が
情けなくダランと揺れる。
泣きそうな璃奈の顔。
左手の指輪を
こすり始めたのを見て
俺はハッと気づかされた。
『嫌われるのが怖くて、
自分の願望を伝えられないのは
俺だけじゃない』
『璃奈も俺に嫌われないか、
不安でいてくれているんだ』って。
空を見上げ
俺は満月に苦笑いをこぼす。
俺は、縣 桜牙。
身勝手で。
俺様で。
自己中心型。
『俺は俺だ。
人に合わせることはしない。
オマエらが俺に合わせろ。
それができないなら
俺に関わるな!!』
自分が認めた奴にしか
心を開かず
興味のない奴らには
笑顔さえ見せずに生きてきた。
自分のポリシーを
貫く生き方が、
俺の理想だ。
相手に合わせてまで、
他人と関わるつもりはない。
でも……