騎士様と合コンして狙い撃ちしたら、まさかの恋仲になれちゃいました。もう離れたくないと縋るので可愛すぎてしんどい。
 レオポルトは酒を飲みつつ、楽しそうに笑った。

 実態を知らない人が聞けば、本当に? と疑われるかもしれないが、騎士学校に通っていた俺たちには今まで余裕のある時間というものはまったく与えられなかった。

 だから、可愛い女の子を見つけても、卒業するまでは告白するのは絶対に待てという先人たちの哀しい血の涙が滲むような不文律がある。

 女の子は会えないと「私と仕事と、どっちが大事なの」と必ずなってしまうらしい。選べないものをどちらか選べと言われても、確かに困る。

 イルドギァの騎士学校では、秒刻みのスケジュールだ。運良く一日休みが取れたとしても不規則だし、実戦を見据えた遠征なども年に何回もこなすことになる。騎士の卵という身分を餌にチラつかせて首尾よく付き合えたとしても、今までに別れなかった試しはないらしい。

 先人は偉大だ。そして、彼らはこの先に後輩に起こる悲劇を最小限にするために代々言い伝えた。「辛いとは思うが好きになって付き合った末に別れた方がもっと辛くなるので卒業するまでは、涙を呑んで我慢しろ」と。

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