私は今日も、虚構(キミ)に叶わぬ恋をする。
真昼ちゃんもずっと気になっていたのか、カフェから出た後、真っ先にこう言った。


「横の人たち、結局何だったんですかね?
転売目当てじゃなさそうでしたけど。

なんかの罰ゲームで入らされたとか?
……って、そういうのにコラボカフェ使われるのもヤな感じですけど」

「ま、まぁ、色んな人がいるから。
何か特別な事情があるんだよ、きっと」

「あ〜、思い切って話しかけてみればよかった!
せっかくのコラボカフェだったのに、なんかモヤモヤする!」

「まぁまぁ。私は楽しかったよ、真昼ちゃんと一緒に入れて」

「私も、もちろん楽しかったですけど……あぁもう、深月さん、まだ時間ありますか!?
気分転換にグッズ見に行きたいんで、よければ付き合ってもらえませんか?」

「あ、いいね! 私も寄ろうかなって思ってたんだ」


コラボカフェの近くには、名古屋でも一番大きいアニメグッズ専門店がある。
漫画本やライトノベルも取り扱っていて、私も名古屋に出た際には、寄ることが多い。


「『エレアル』グッズ、たくさんあるといいですね〜!
私、ネットで見た新商品で気になるのがあって!

あ、グッズといえば!
番々くじのランチトート、ありがとうございました!
今日はお礼に、何か『エレアル』のグッズ買わせてください!」

「え!? いいよ、そんな!
優星くんから、くじ一回分のお金は貰っちゃってるし」

「そうなんですか!?
お兄ちゃん、私には『深月さんから貰った』って言ってたのに……」

「やっぱり、いいお兄さんだね。優星くん」


そんなことを話しながら、アニメグッズの店へ向かった。

店では『エレアル』の新商品が大量に置かれていて、ついつい真昼ちゃんと2人、色々買い込んでしまった。

真昼ちゃんとの一日は、そうして過ぎていった。


< 104 / 165 >

この作品をシェア

pagetop