私は今日も、虚構(キミ)に叶わぬ恋をする。
「あ……」


私が言葉をなくしていると、久我山くんが私の横に立った。


「行こう、深月」



久我山くんは、先生を見ると、


「すいません。深月も、色々あって混乱しているみたいなんで……」

「おう。任せたな、久我山。
俺はもう少し、こいつら絞っとくから」


先生の視線に、先輩たちがビクッと怯えていた。


「深月……」

「ごめんね、陽菜。後でちゃんと話すから」


私は、心配する陽菜にそう言い残すと、優星くんと共に教室を後にした。
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