優しくない同期の甘いささやき
父の返事に私たちは顔を上げて、ホッとひと息ついた。


「良かった……」

「うん、良かったね」


認めてもらえたのがうれしくて、私たちは手を取り合って喜んだ。

その後、いつ結婚するのか、式はどうするのか話した。

まだプロポーズされたばかりでふたりで結婚について、話したこともなかった。

だから、家族に聞かれても答えられないと思っていたが、熊野は自分の希望を話した。

驚いたことに、彼はかなり具体的に考えていた。


「9月に入籍して、11月か12月に家族だけで結婚式をしたいと思います。どこで挙げるかは美緒さんの希望を叶えたいと思っています。新婚旅行は来年の春あたりでどうかなと思っていますが、美緒さんと話し合って決めたいです」


両親はふむふむと聞いていたが、私は驚いていた。

いつ考えたのだろうか?

父はふたりでよく相談して、決めなさいと言った。

母は夕飯を一緒に食べないかと誘ったが、熊野は断った。

「今夜は美緒さんとふたりで過ごしたいので」と理由をサラリと口に出した。

それを聞いて、私たち家族はぽかんとした。
< 139 / 172 >

この作品をシェア

pagetop