500文字恋愛小説
№12 年越し蕎麦
「お蕎麦できたよー」

彼が机の上にどんぶりを二つ置く。

「いただきます」

手を合わせ、向かい合って食べ始める。

「ふふふっ」

「なに、急に笑って。気持ち悪いな」

彼は怪訝そうだが、だって。

「なんか、幸せだなって」

大好きな彼と一緒に食べる年越し蕎麦。
それだけで幸せな気分になっちゃうのってなんでだろう?

「そうだね、僕も幸せ」

締まらない顔で彼がふにゃんと笑う。

「来年もこうして、ふたりで年越し蕎麦を食べたいな」

「そうだね。
でも来年はふたりじゃないほうがいいかな」

困惑している私に、彼がさらに続ける。

「君と結婚して、さらに家族が増えたらいいなってことだけど」

顔を真っ赤にして眼鏡を上げる彼に、勢いよく頷いた。
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