500文字恋愛小説
№72 卒業式
「ずっと先輩が好きでした!」
 
卒業式。思い切って先輩に告白した。

「あー、うん。ありがとう」

「その、付き合って欲しいとかいいません。
気持ちを伝えるだけで満足なので。
ありがとうございました!」

「……待てよ」
 
走り去ろうとしたら手を掴まれた。
振り返ると思いっきり不機嫌そうな先輩。

……ああ。
もしかして、私に好きって言われるのも迷惑だったのかな。

「自分だけ言いたいこと言うだけ言って、満足?」

「えっ、あっ、その……」
 
……確かに。
言い逃げしようとしていた私は、ちょっとあれかもしれない。

「返事とか聞きたくないのかもしれないけど。
でも、こっちとしては言いたいことがあるの。
……あのな。
俺もずっと、おまえが好きだった」
 
引き寄せる手に抱きしめられて、頬に涙がつたい落ちた。
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