8度目の人生、嫌われていたはずの王太子殿下の溺愛ルートにはまりました~お飾り側妃なのでどうぞお構いなく~2
* * *
最初はぼやけていた映像は、徐々に鮮明になっていく。
『なにを言っているのですか。父上』
どことなく見覚えのある場所は国王の執務室のようだ。宰相と文官が控えていて、ジャネットの姿も見える。なぜかローランドを伴ったエリオットまでいた。
ジャネットのうしろには、影が見える。アイラの言う通り、花が絡みついているのが見えた。紫色の、漏斗状の花だ。
なんとなく顔つきまでうっすら見えるのは、リーフェの増幅能力のたまものかもしれない。
『言ったとおりだ。ジャネットを后として迎えろ。フィオナ妃と結婚してもうすぐ三年になる。そろそろ次の后を得ても問題ないだろう』
『問題はあります。俺にはフィオナ以外の后は必要ありません』
『いいや。彼女はブライト王国出身。この国には、帝国の血を引く后が必要なのだ』
国王は、ちらりとジャネットを見る。ジャネットは無表情でたたずんでいて、周囲を囲む文官たちがいらだちを隠せない様子でオスニエルを睨んでいる。この映像からはわからないが、おそらくいつものあの香りが漂っているのだろう。
『エリオット殿、そなたはどうだろう。ブライト王国とは、そもそも側妃として迎えるという約束だったのだ。もとに戻るだけのこと、異存はあるまい?』
カッとなったのはローランドのほうで、『しかし……』と口にまで出したが、エリオットがやんわりと止めた。
『私の一存で返事はできません。国王である父の意見を無視するわけにはまいりませんから。けれど、最初のお約束から見れば、現在の状況が、過分な対応をいただいていることは理解しております』
エリオットのうしろで、ローランドが歯ぎしりをした。これも、彼には珍しい態度だ。それほど不服なのだろうが、いつもであれば、不満を飲み込んで無表情でいられるくらいの冷静さは、彼にはあるはずだ。
フィオナの仮定が正しければ、今の光景の中で、ジャネットの香りに対抗できるのはエリオットだけだ。不安には思うが、呼ばれてもいないフィオナが乱入するわけにもいかない。
最初はぼやけていた映像は、徐々に鮮明になっていく。
『なにを言っているのですか。父上』
どことなく見覚えのある場所は国王の執務室のようだ。宰相と文官が控えていて、ジャネットの姿も見える。なぜかローランドを伴ったエリオットまでいた。
ジャネットのうしろには、影が見える。アイラの言う通り、花が絡みついているのが見えた。紫色の、漏斗状の花だ。
なんとなく顔つきまでうっすら見えるのは、リーフェの増幅能力のたまものかもしれない。
『言ったとおりだ。ジャネットを后として迎えろ。フィオナ妃と結婚してもうすぐ三年になる。そろそろ次の后を得ても問題ないだろう』
『問題はあります。俺にはフィオナ以外の后は必要ありません』
『いいや。彼女はブライト王国出身。この国には、帝国の血を引く后が必要なのだ』
国王は、ちらりとジャネットを見る。ジャネットは無表情でたたずんでいて、周囲を囲む文官たちがいらだちを隠せない様子でオスニエルを睨んでいる。この映像からはわからないが、おそらくいつものあの香りが漂っているのだろう。
『エリオット殿、そなたはどうだろう。ブライト王国とは、そもそも側妃として迎えるという約束だったのだ。もとに戻るだけのこと、異存はあるまい?』
カッとなったのはローランドのほうで、『しかし……』と口にまで出したが、エリオットがやんわりと止めた。
『私の一存で返事はできません。国王である父の意見を無視するわけにはまいりませんから。けれど、最初のお約束から見れば、現在の状況が、過分な対応をいただいていることは理解しております』
エリオットのうしろで、ローランドが歯ぎしりをした。これも、彼には珍しい態度だ。それほど不服なのだろうが、いつもであれば、不満を飲み込んで無表情でいられるくらいの冷静さは、彼にはあるはずだ。
フィオナの仮定が正しければ、今の光景の中で、ジャネットの香りに対抗できるのはエリオットだけだ。不安には思うが、呼ばれてもいないフィオナが乱入するわけにもいかない。