8度目の人生、嫌われていたはずの王太子殿下の溺愛ルートにはまりました~お飾り側妃なのでどうぞお構いなく~2
「きっと、ユーインにとって、そなたは白い花なのだろうな」
「……どうでしょう」
「君が美しく咲き誇ることを、願っていると思う」
まだ胸は痛いし、オスニエルを完全には許せない気持ちもある。それでも、彼の好んだ花を生かす道を目指したいという目標ができた。
ジャネットは未来を閉ざすには若すぎるのだ。
たとえ永遠に彼のことが好きだとしても、恋愛以外にも生きる楽しみはある。
フィオナ妃との話している間、ジャネットはずっとわくわくしていた。自分の人生は決して終わりではなかったのだと、周りに目を向けることさえできれば、道は広がっていたのだと気づいた。今度は人を陥れるためじゃなく、人を幸せにできるのかもしれない。そう思えることがうれしかった。
「私、頑張ります。フィオナ妃にもよろしくお伝えください」
「ああ」
こうして、ジャネットを乗せた馬車は走り出した。
「あーあ、帰っちゃいましたね」
オスニエルは、残念そうにつぶやくロジャーを見て、にやりと笑う。
「ジャネットはお前の好みだったのか」
「そういうのではありませんけど。ジャネット様、笑うようになってからは、とても輝いていたと思いませんか?」
「俺はフィオナのほうが好きだ」
「惚気はいりません」
いつかジャネットは、ユーインを忘れて違う男と恋をするかもしれない。
オスニエルはそれを見たいと思う。
フィオナに充てられたのか、最近は、みんなに幸せになってほしいと、願うことが多くなった。それはいい変化なのだろうと、オスニエルは思う。