8度目の人生、嫌われていたはずの王太子殿下の溺愛ルートにはまりました~お飾り側妃なのでどうぞお構いなく~2
 フィオナは、これまでの人生を踏まえて計画を立てた。
 まずは側妃にはなろう。一国の姫をつかまえて側妃に迎えたいなどというのは大変に失礼な申し出だが、この婚約を破棄するのが最も死に近いのだから仕方がない。
 それに、オスニエルはフィオナを嫌っているので、これまでの人生でも貞操は守られている。
 連れて行く供も、ペットのドルフだけにした。人間を連れて行くと摩擦が起き、いざこざを引き起こすが、動物ならば害がないだろうと思ったのだ。
 あとは後宮に引きこもり、趣味の紐編みをして過ごし、オスニエルとはかかわりあいにならないようにするつもりだった。

 そこからいろいろあって、実はドルフが自国であがめられている聖獣で、フィオナの人生をループさせたのもドルフだったということが分かった。
 何度も人生を繰り返させられたことには不満もあるが、ドルフはフィオナに、加護の力をくれた。ドルフという味方を得て、フィオナも政略結婚相手のオスニエルに対しても、物怖じせず対峙できるようになったのだ。
 自分を殺そうとまでしたオスニエルに、最低な印象を持っていたフィオナだったが、言い合いや喧嘩を繰り返しているうちに、不器用でまっすぐな人間なのではないかと気づいた。
 彼はやっていることは横暴だが、その根底には国を発展させ、国民を守ろうという思いがあったのだ。

 一方、オスニエルも、フィオナが始めた紐編みアクセサリーの事業が、国の孤児対策を兼ねていることを知り、協力し始める。
 フィオナが孤児たちに見せる愛情に、オスニエルは知らず惹かれていき、やがてそれは恋になった。
 やがて、オスニエルの正妃候補であるジェマ・リプトン侯爵令嬢の起こした毒薬事件をきっかけに、ふたりは気持ちを確かめ合い、オスニエルはフィオナを側妃ではなく正妃とし、領土を得るための戦争を止め、自国の整備に力を注ぐことを誓ったのだ。

 オスニエルは王太子だが、国策を変更させるには並々ならぬ努力がいる。有力貴族を説得し、最終的に国王に認めさせねばならないのだ。
 彼は粘り強い説得でそれを実現し、オズボーン王国は、今までになく平和な国へと変わったのだ。
 そして現在、フィオナとオスニエルはふたりの子供にも恵まれ、幸せな生活を続けている。

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