王子の盲愛
「てか、よく入り込んだね……
虚言女!!!」

王弥の言葉に、新道は歩みを止め振り返った。

「え……」
「何、そのバカ面!だって貴様は、嘘の塊だろ?」
「━━━━━!!!?」

王弥は何を知っているのだろう━━━━━
新道は、恐怖心に震える。

「どうゆうこと?」
「てか、なんで新道がいんの?」

会場中の人間が、新道に注目する。
クラスメート達も、新道の存在に気づいた。

「貴様は、資産家の令嬢でとなんでもない。
ただの低所得者。
ろくに働かない母親を持ったが為に、毎日定食屋で働いて生活を支えてる、お、ん、な!」

「嘘…でしょ…?」
「また、嘘かよ!?」
「ここまでくると、最低・最悪だな!!」

「里麻、どうゆうこと…!?
私、ずっと信じてたのに……!!
騙してたんだ……」
定食屋でも、最後まで味方をしていた友人が泣きそうな顔で新道に近づく。

「それは……」
「里麻、最低……」

「………」

「まぁ、僕には関係ないし、どうでもいいけど!
とにかく、出ていって!会場が穢れる!」

新道は会場を出た。

「理世ちゃん?もう、あいつはいないからね…!大丈夫だよ…!大丈夫…大丈夫……」
頭を撫でながら、ゆっくり安心させるように言ったのだった。

パーティーがお開きになり、王弥と理世も会場を出た。
「理世ちゃん、お疲れ様!」
「え?お疲れ様なのは、王弥くんでしょ?」
「だってあんな奴に会って、精神的に疲れたよね…
ごめんね、まさかいるなんて思わなくて……!」
「王弥くんは、悪くないよ!
大丈夫だよ!王弥くんが傍にいてくれたから」

「フフ…当たり前!!理世ちゃんから、放れないよ!」

理世の頭を撫で、口唇を寄せた王弥。
「理世ちゃん…キスしよ…?」
「え……ここ、外だし…////」
「だって、理世ちゃんのドレス姿……いつにも増して可愛いんだもん!お願い……させて…?
理世ちゃんが、可愛すぎて……もう、止まんない…////」
ゆっくり口唇が重なった。

「ん…おう、やく…お願……はぁ…」
「理世…好…き…好きだよ…」
「お願…もう……」
王弥の胸を押し返す、理世。

「あ…口唇!離さないで……!?」
「お願…恥ずかし…い…の…////」
頬を包み込み口元で囁く王弥と、顔を赤くし瞳を揺らす理世。

「ほんっと、可愛すぎ……!!」
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