王子の盲愛
新道は、その会場に来ていた。
クラスメートの名前を出すと、簡単に入れたのだ。

「とにかく、みんなにバレないようにしないと……」
母親のアクセサリーを借りて、なんとか着飾りやって来た新道。

元・お嬢様だけあり、それなりの高価な物を持っていた母親。
その為か、新道はそれなりの女性に見えていた。

「お一人ですか?」
「え?
━━━━━━━!!!?」
なんと!話しかけてきたのは、財前だった。

「あ、え、えぇ…」
「ご一緒しても?」
「もちろん!」
グラスで乾杯する。

「お酒は?」
「あ、私…実は未成年で……」
「あ、これは失礼…!とても大人っぽかったから、21歳位かと……」
「喜んでいいのかな(笑)?」
「えぇ…誉めてますよ?
…………僕は、財前 孝人(たかと)と申します。貴女は?」

「新道 里麻です」

「新道さんは、どこかのご令嬢?」
「え?あ、それは……」
「あまり、お見かけしないから…
でも、新道って名前……どこかで………」
「あ!それは!一度、雑誌に取り沙汰されたことがあるからかな?」

母親の実家の事は、今やタブー。
もう既に衰退して、落ちぶれた一族で有名だからだ。
そんなことを知られたら、それこそ笑い者だ。

新道は、なんとか嘘をつき乗りきった。

それからも、他愛ない話で時間が過ぎていく。

「………あ、もうすぐかな?」

「え?」
「今日は、スペシャルゲストを呼んでるんです」
「へぇー、誰ですか?」
「新道さんもご存知な方ですよ?」
財前は、微笑み言った。

「孝人様、八神様ご夫婦がいらっしゃいました。
お出迎えされた方が、よろしいかと……」
財前の執事が、耳打ちする。

「あぁ。
新道さんも、ご一緒にどうぞ?
王弥様に紹介します!」

「え━━━━!!!!?」
(嘘……!!?ヤバい……!!!?)

「新道さん?」
「あ、私!ちょっと、お手洗いに……
ご、ごめんなさい!」

そそくさと、会場を出ていこうとする新道。

しかしそこで、ちょうど王弥と理世が会場に入ってきて、ばったり出くわしたのだ。

「え……し、新道さ……!!!?」
理世は咄嗟に王弥の背中に隠れた。

「なんで、いんの?
僕達の前に現れるなって言ったよね!?」
王弥が背中に震える理世を庇いながら言った。

「あ…あ…そ、それは……」

「王弥様、本日はわざわざありがとうございます!」
そこへ、財前が現れる。

「財前!こいつ、つまみ出して!!!」
「え?王弥様?」
「こいつは、僕の理世を傷つけた輩なの!!早く!!
それとも、僕達が帰ろうか?」

「え……そんな…わかりました!!
おい!!」
財前が、傍に遣えていた執事に声をかける。

「新道様、申し訳ありませんが……お引き取りを……」
執事が、新道を外に促す。

「理世…!もう大丈夫だからね!
可哀想に……こんな、震えて……」
王弥が振り返り、理世を抱き締め背中をさすった。
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