王子の盲愛
「フフ…可愛い、理世ちゃん。
でもこんなことされたら、益々放れられないよ!」
王弥が理世の頬を撫で、ぷにぷにして遊ぶ。

「お互い、気をつけようね!」
「フフ…わかったぁ!」

「理世ちゃん?」
二人が微笑み合っていると、和可子が現れ呼ばれた。

「あ、和可子さん!
………じゃあ、王弥くん。
また!連絡するね!」
「うん」
小さく手を振り、和可子の元へ向かった理世だった。


「理世ちゃん、服の好み変わった?」
和可子が、理世の服装を見て言う。
「ちょっと、事情があって……」
「このパーカーどう見ても、メンズだよね?」
「あ、はい…」

「━━━━━そうゆうことかぁ!
びっくりしちゃった!理世ちゃん、可愛らしい物が好みだったから」
イタ飯屋でランチしながら、簡単に説明する理世。
和可子がやっと納得したように頷いた。

「彼氏、独占欲が強いのね!」
「そうみたいです。
…………和可子さん、明文(あきふみ)くん(理世の幼なじみ)は元気ですか?」
「あ、実はそのことを話そうと思ってて!」
「え?」
「私達、結婚するの!」
「え!?そうなんですか!?
おめでとうございます!」
「「おめでとう!」」
他の二人も、声を揃えて言った。

「フフ…ありがとう!
理世ちゃんには明文が言うって言ってたんだけど、実家出たらしいって聞いて……」
「あ、私も結婚したんです」
「え?じゃあ…パーカーの彼は、旦那さん?」
「はい」
「なーんだ!そうだったんだぁ!」

「タブルでおめでとうね!」
「そうですね!」

「じゃあ…ここは、私達が奢る!」
「そうね!和可子、理世ちゃん。
おめでとう~!!」
「ありがとう!」
「ありがとうございます!」
四人は、微笑み合い楽しい時間が流れていた。


その頃の王弥━━━━━━━

駅にあるカフェに入り、煙草を吸いながらコーヒーを飲んでいた。

理世が傍にいないと、何もする気の起きない王弥。
理世が先程つけたチャームを触りながら、心を落ち着かせていた。

「理世、早く終わらないかなー
早く終われ!早く!
やっぱ、行かせなきゃ良かったかなー?
でもなぁ……あんま束縛すると嫌われるよなー」

「あれ?王弥様?」
「あ?財前だ」
「一人ですか?」
「うん」
「奥様は?」
「女子会」
「あーそれでかぁ。
この世の終わりみたいな表情(かお)してたから。
……………一緒していいですか?」
「理世から連絡あるまでなら」
カウンターに座っていた、王弥。
財前も隣に座り、煙草を吸い出した。
ちなみに財前は、23歳の社会人だ。

「最近、集まりに来られてないですね。
やっぱ、結婚したからですか?」

集まりとは、資産家の御曹司や令嬢だけで行っている食事会のこと。(新道が連れていかれたバーとは、比べ物にならないくらい豪華)
会員制でこの集まりに来るには、誰かの紹介が必須だ。
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