偶然から始まった恋の行方~敬と真理愛~
「どうしてあなたはいつもそうやって私を困らせるのよ。ママだって一生懸命やっているじゃないの」

「だから、ママは私のことなんてかまわずに好きにすればいいでしょ」
なぜだろう、今日の私は止まらない。

大学に入ってからは『ママ』って呼ぶのが恥ずかしくて『お母さん』って呼ぶようにしていたのに、いつの間にか戻っていた。

「なあ2人とも落ち着こう。ママもこれ以上興奮すると具合が悪くなるよ」
もともと体が丈夫でないお母さんをおじさんが気遣う。
「だって・・・」
お母さんは真理愛が悪いのよって言いたそう。

いつだって悪いのは私。
お母さんの気が済むのならそれでいいといつもなら思うのに、今日は我慢できなかった。

「もういい、出ていく」
勢いで出た言葉に、
「真理愛」「真理愛ちゃん」
お母さんとおじさんの声が重なった。

一旦口を出たものは元には戻らない。
言葉にはそれだけの責任がある。
わかっていたはずなのに・・・

その後どうやって家を出たのか、正直記憶がない。
きっとおじさんとお母さんが唖然としているうちに飛び出したんだろうと思う。

気が付いたら駅まで来ていた。
< 137 / 204 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop