偶然から始まった恋の行方~敬と真理愛~
さあどうしよう。
家を飛び出したものの、駅まで来て途方に暮れた。

本当なら、今一番会いたいのは敬。
彼の胸に飛び込んで泣いてしまえばどんなに気が楽になるだろうと思う。
でも、できないんだなぁ。

おじさんは敬と私の交際に反対している。
そのことはお母さんからも聞いているし、敬も承知しているらしい。
何度も外泊をしてしまいおじさんを怒らせた以上仕方ないかなとも思う。
こんな状況で私が敬のマンションへ行けばおじさんの怒りに火をつけてしまうの確実。そのことで私が怒られるだけならいいけれど、敬の立場が悪くなるのは困る。

ブブブ、ブブブ。
携帯の着信。

あ、お兄ちゃん。

「もしもし」
「もしもし、真理愛?」
「うん」
「今どこ?」
「駅」

あれ、いつかのデジャブ。

「迎えに行くから、そこで待っていろ」
「・・・うん」

きっとおじさんから連絡があったんだろうな。
行く先のない私は素直にお兄ちゃんを待つことにした。
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