偶然から始まった恋の行方~敬と真理愛~
昨夜、私を抱きながら避妊具を用意する敬に
「今日は絶対安全な日だから、そのままで」
とお願いした。
もちろん敬は、
「それでも一応」
と準備しようとしてくれたけれど、
「大丈夫。生理不順で通院していて、ピルも飲んでいるの。最後だから思い出にしたいの」
そう言った私に渋々敬が折れてくれた。


「ごめんね、敬」
床に脱ぎ捨てられていた服をかき集め、急いで身支度をしてもう一度眠っている敬の顔を見た。

昨日が安全日だって言うのも、ピルを飲んでいるのも嘘。
自分でもなぜあんな嘘をついたのかはわからないけれど、このまま終わりにしたくなかった。
敬には私よりもふさわしい人がいるってわかっているし、何のとりえもない私なんかでは釣り合わないと自覚している。それでもどこかでつながっていたかった。


「ありがとう、さようなら」
ぐっすりと眠って目を開ける様子のない敬に声をかけ、私はマンションを後にした。
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