偶然から始まった恋の行方~敬と真理愛~
駅前の24時間やっているファミレスに入り注文したコーヒーを一口。
さすがに家に帰るには早すぎるし、お兄ちゃんのマンションんに行くのも気が引けて時間を潰すことにした。

けじめをつける意味で敬の連絡先は削除した。
これで敬と連絡をとることはできない。
これからはこの街を離れ、名前も一旦旧姓の『阿部』に戻ってお父さんと2人つつましく生きていく。
2年間は大学を休学してお父さんの介護に専念することにしている。
介護とは言っても施設に入所するわけで、週に何日か様子を見に行くくらいのことだけれど、その間に自分のやりたいことを見つけるっていうのがおじさんの出した一人暮らしの条件。
2年後、将来のビジョンが定まらないようなら高城の家に戻る約束になっている。

「はぁー、贅沢な独り暮らしよね」
お母さんから渡された通帳を見ながらため息が漏れた。

あんなお母さんだけれど私のために貯蓄をしていてくれたらしく、新車が何台か買えほどの額が入っていた。

おじさんからも、
「2年間は一切干渉しないから、真理愛ちゃんの自由にすればいい。ただ、緊急の時のために太郎にだけは連絡先は知らせてほしい」
と言われた。

本当に、私はどうしようもないわがまま娘だ。
< 157 / 204 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop