偶然から始まった恋の行方~敬と真理愛~
「おじさんに叱られたよ」
「そう」

少し紅潮した顔をする敬は照れくさそうに私を見ている。
勝手なことをしたのは私なのに、敬が叱られるなんて申し訳ない。

「明日の朝、2人で高城先生のところに行こう」

「・・・」
私は返事ができず、黙り込んだ。

「敬也のためにもけじめをつけよう。俺たちは親なんだから、いつもでも逃げているわけにはいかない、だろ?」
「ぅ、うん」

もちろんいつまでも隠しておけると思ってはいない。
それでも覚悟が・・・

「大丈夫、俺が付いているから」
そう言って、敬が私の手を握る。

「うん」

ちゃんと報告して、心から謝って、たとえ許してもらえなくても会って話をしよう。
もう逃げも隠れもしない。敬也のために、堂々としなくていなくてはいけない。それが、親としての務めだから。
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