偶然から始まった恋の行方～敬と真理愛～

「だから、誤診だったんじゃないの？」
「あの、それは・・・」

診察室に近ずくと、女性特有の甲高い声が聞こえてきた。

「何で家に帰った途端にけいれんなんて起こすのよ」
「ですから・・・」

何を聞かれてもはっきりと言い返さない花見先生に、患者の母親はイラついている。

「あの時入院させてくれたら、こんなことにはならなかったはずでしょ」
「・・・」

子供けいれん発作なんて予測はできない。
花見先生は決して間違ったことをしたわけじゃない。
ただ、このおどおどした態度が母親をイラつかせてしまっている。
突然起きた娘のけいれん発作に動揺した母親が、怒りの矛先を花見先生に向けているんだ。

トントン。
俺は診察室をノックして部屋へと入って行った。