偶然から始まった恋の行方~敬と真理愛~
おじさんに外泊していたことがバレてから敬さんとは会っていない。
日中は毎日のように病院へ行っているけれど、平日は敬さんもいないし土曜日にチラッと姿を見ることはあってもわざわざ話をするほどの用事もない。
特にお父さんが内科病棟に変わってからは病棟で会うこともなくなった。
それでも時々連絡はしていて、お父さんの様子を知らせたり私のことを気遣うメールには短く返信を返していた。
別に悪いことをしているわけでもなく、後ろめたさは全くないけれど、できればお兄ちゃんには知られたくなかったな。

「寒いから毛布を掛けていろよ」
「うん、ありがとう」

お兄ちゃんに借りたジャージのまま抱えられて、私は車へ運ばれた。

自宅までは車で15分ほど。
後部座席にシートに寝かされて、いつの間にか私は眠ってしまった。
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