偶然から始まった恋の行方～敬と真理愛～

「塙だっけ？例の研修医。死んだんだろ？」
「らしいな」

加害者も被害者も病院関係者だったせいで随分大きく報道されたが、罪自体はそんなに重たいものではなかった。
順調ならすでに社会復帰しているはずで、きっと名前を変えて暮らしているのだろうと思っていた。
しかし、半年前。
俺は副院長から塙くんが亡くなったと聞かされた。
病死なのか、事故死なのかもわからないが、寂しい最期だったらしい。

「敬が事件の責任を感じる必要はないと思うぞ」
「ああ」
わかっている。

別に責任を感じているわけではない。
ただ、前に進むのが怖いだけ。
大切な人が苦しんだり、傷ついたりするのを見たくないし、突然俺の目の前から消えてしまうくらいなら初めから近づかないでいようと思える。
だからかな、真理愛への気持ちとセーブしようとする俺がいる。