追放された水の聖女は隣国で真の力に目覚める~世界を救えるのは正真正銘私だけです~
(あ、あれ?)
一度手を離して握り直しても、両手で掴んで台座から引き抜いてもロッドは輝かず、モニカ自身に変化もない。
「どうして……?」
周囲はざわついていた。
モニカの背には冷や汗が流れ、おそるおそる導師を見る。
祭壇下で見守っていた導師は呆然としており、モニカと視線が合うとしわがれた声で呟く。
「まさか、モニカでないとは……」
(えっ、私は聖女になれないの!?)
モニカは愕然とした。
幼い頃から次代聖女だと言われ続けてきたので、少しも疑わずにここに来た。
急に強大な魔力が生じて体が悲鳴をあげないかという心配はしても、聖女になれなかった場合を想定していなかった。
「も、もう一回」
現実を受け入れられず、モニカは再度ロッドに手を伸ばす。
けれども触れる前にガタンと椅子が鳴り、ルビウス三世が立ち上がった。
「もうよい! 導師よ、聖女はモニカで間違いないと申したのは偽りか? わしの顔に泥を塗るのがお主の目的だったのか?」
隣国の王侯貴族を前に赤っ恥をかかされたと国王は憤り、導師が慌てふためいた。