追放された水の聖女は隣国で真の力に目覚める~世界を救えるのは正真正銘私だけです~
儀式の最中はシュナイザーの隣に座っていたので、きっと隣国で要職についているのだろう。

彼も自国の皇帝にぞんざいな口の利き方をしており、モニカの頭が疑問符だらけになった。

(同じような年頃でも皇帝と臣下が友達ということはないわよね? どういう関係の三人なの? それとも隣国には、かしこまってはいけないという決まりでもあるのかしら?)

「あの」と声をかければ三人の視線がモニカに向いた。

「モニカなに?」

なぜか親しげに声をかけるのは護衛らしき青年で、続けて話そうとする彼をシュナイザーが止めた。

「ハンス、黙ってろ」

「なぜ?」

「なぜもへったくれもあるか。せっかく迎えに来たというのにこいつは」

ジロリとシュナイザーに睨まれたモニカは肩をすくめた。

「とりあえず帰るぞ。ロストブの王に気が変わったなどと言われては困る。長居はしない」

「御意」

まるでかしこまらずにそう言ったハンスが、ラクダのいる厩舎の方に駆けていく。

(この人、本当に噂の皇帝? 聞いているのと随分印象が違うわ)

モニカは恐れよりも興味が膨らんだ。

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