契約結婚のススメ
 まあ、それは仕方がないからいいんだけれど。いつまで経っても私は一貴さんより六歳年下だから。

「コホン」と、ごまかすような咳をした一貴さんは私の手を取った。

「陽菜、ちゃんと言ってほしい。電話って美加になにを言われたんだ?」

 え? 美加ったら自分から言い出したのに、私が席を立った後も内容は言わなかったのね。ずるい。自分の発言に責任を取るつもりはないのかしら。

 だからって私は口にしたくもない。

「言いたくない」

「そうか。じゃあ弁護士を通してあの女に聞くよ」

「弁護士?」

「ああ。俺は今後ネットのくだらない噂にも対応すると決めたんだ。最初に美加が芸能界にいられないよう、叩き潰そうと思う」

 ええ! た、叩き潰す?

「あんな意味深な写真をSNSに乗せたんだ。責任は取らせる。言い見せしめになるだろう」

「やめてそんな。怖い」

「なに言っているんだ。陽菜は気にしなくていいんだよ。大事な妻を追いつめられたんだ。俺が許すと思うほうが間違ってる」

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