御曹司の激愛に身を委ねたら、愛し子を授かりました~愛を知らない彼女の婚前懐妊~

 


その後しばらくして宴会はお開きとなった。

一月半ばの週末となれば新年会が多いようで、店を出ると近辺の飲食店も客の出入りが途切れず続いている。

時計を見ると二十一時を少し過ぎている。

菫は外気の寒さに震えた。

「御園さん、二次会はどうする?」

傍らから聞こえた声に視線を向けると、広報宣伝部の先輩の女性が立っていた。

「近くのバーにこのまま移動するらしいけど、御園さんはやめておく? お酒苦手だしね」

「はい。いつも付き合いが悪くてすみませんが、このまま帰ります」

酒に弱いうえに今回の宴席には会社案内制作に関わった面々がずらりと参加している。

一次会は仕事の一環と考えて参加したが、男性との付き合いが苦手なのもあり、菫はこのまま帰るつもりでいた。

「じゃあ、私は行くけど、気をつけて帰ってね。あ、そこの角を曲がったらロータリーでタクシーが並んでるから」

先輩はそう言って軽く手を振ると、二次会に向かう面々のもとへ向かった。

その中に野島の後ろ姿もあった。

「せめてお酒に強かったら付き合えたかな……それでも人見知りはどうにもならないか」

菫は小さく息を吐いた。
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