月の砂漠でプロポーズ
月の砂漠でプロポーズ
 夕方近くに観光して、夜は互いの腕の中に眠り、朝遅めの時間に目覚める。
 まさにハネムーンというにふさわしい旅。

「也実。ホテルを移る」

 日付があやふやになった頃、諒さんがいい笑顔でいった。

 車が迎えにくるのが十四時半。
 チェックアウトは十二時だから、清算してからお昼をとった。
 荷物は先にヘリコプターで運ばれるという。

「……どこに行くの?」
「ついてのお楽しみ」

 わかった。訊かざる、ですね。
 私がチベットスナギツネみたいな顔をしたら不思議なことを言われた。

「也実は三半規管は平気?」

 たぶん。
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