たすけて!田中くん
「あっくん、まさか強引に彼女にしたの?」
眉を下げて敦士を見る百瀬茅織に、オレンジ色の髪の結高が「許可はとったはずなんだけどなぁ」とへらへらと笑う。
その許可だって詐欺みたいなものだ。だけど百瀬茅織は「そうなんだ」とホッとしたように表情を緩める。
「これから仲良くしてくれると嬉しいな」
柔らかな微笑みと甘ったるい口調からは、悪意は感じない。
けれど、苺の香りがするので胃のあたりに不快感が広がる。
香水かリップクリームが苺系の匂いがするものを使っているのかもしれない。
「お名前は?」
「……喜久本凪沙です」
「凪ちゃん! よろしくね〜!」
苦手な香りのため私の傍にこられると、目眩がしてくる。
「な、凪沙……!?」
「え?」
いきなり呼び捨てで呼ばれて、振り向くとそこには先程百瀬茅織と一緒に部屋に入ってきた男子。
よく見るとこの金髪の人……見たことがある。
「あ!」
記憶の奥深くに眠っていた思い出を掘り起こして、面影がある男子を思い出す。
そうだ! 同じ小学校だった浮島聡だ!
泣き虫で小さい男の子だったけれど、今は背も高くなっていて髪の毛も派手だ。でも顔がそのまま成長していて、奥二重で少し口が尖っているところが幼い頃のままだ。