たすけて!田中くん
「うーっす」
「あれぇ! 女の子がいる〜!」
栗色のふわふわのボブの女子が私の顔を覗き込み、微笑んでくる。
「こんにちは〜!」
……ああ、この子が噂の幼なじみだろうな。
噂通り、か弱い系で守ってあげたくなるような女子だ。
この子が来た瞬間、空気が柔らかくなったのを感じたこともあり、彼女はここの人たちにとって大事なのだろう。
「百瀬茅織です〜! あなたがあっくんの彼女さんかな?」
「違います」
敦士の本命と言われていた存在だ。勝手に彼女にされたとはいえ私のことを疎ましく思っているかもしれない。
「あれ? この子じゃないの?」
「勝手に彼女にされただけで、今すぐ別れるつもりです」
百瀬茅織からふわりと香る甘ったるい匂いに、血の気が引いていく。
この匂い、まさか……