たすけて!田中くん
「自分に歯向かう相手を執拗に追い回し、男を片っ端から泣かせてた」
「ちょっ」
「おまけに重度のブラコンで泣く弟の顔が好きだからって理由で、泣かせて喜ぶようなやつだ!」
「なっ! 喜んでないし! 泣き顔が可愛いって言っただけだし!」
泣かせたのはわざとではない。それに今では反省している。弟にだって、もうしないでねと可愛くお願いされたので、弟を泣かせる喧嘩も今はしていない。
「男と取っ組み合いの喧嘩ばっかして、ほんっと手のつけようがないくらいだったし、ゴリラって呼ばれてたんだ!」
「誰がゴリラだって?」
サトシの胸ぐらを掴み、ギロリと睨みつけると怯えた表情で目に薄らと涙を浮かべている。
「ひっ、ごめんなさ……!」
「謝るなら、言うな」
ああ、この感じ懐かしいなぁ。昔もよく私に喧嘩売ってくるサトシと戦って、いつも結局サトシが負けていた。
「って、うっかり謝る癖が! 本当の事だろうが! お、お前のことなんてもう怖くねぇし!」
「へえ?」
「ひっ」
こうして反抗するようになったことを感慨深く思っていると、自然と笑みを浮かべてしまう。けれど、何故かサトシは私の笑みに怯えている。