たすけて!田中くん
「はい、あ〜ん」
「やめ……むぐっ!?」
開いた口の中になにかが放り込まれる。強引な行動に困惑していると、口内に広がる甘みに眉を寄せた。
ぞわりと体が粟立ち、冷や汗が背中を伝う。
「それ、美味しいでしょ? 大好物なの」
「……」
「凪ちゃん?」
「これ……なに」
気分が悪くなってきた。吐き気がする。
「苺のグミだよ!」
「いち、ご……?」
その単語に怒りと嫌悪感が一気に跳ね上がってしまう。
私は、世界で一番苺が嫌いだ。できれば、一生口にしたくなかった。
「ひゃっ!?」
必死に我慢して苺グミを飲み込むと、勢いよく百瀬さんの胸ぐらを掴む。
「お、お前なにしてんだよ!? 」
止めに入ってくるサトシのことは無視して、彼女のことを睨みつけた。
「茅織を離せって!」
泣き出しそうな百瀬さんを見下ろして、舌打ちをする。泣きたいのはこっちだ。
「自分の好きなものを他人も好きだと思うな!」
「へっ? き、嫌いだったの!?」
口の中気持ち悪い。最悪な気分だ。
悪気はなかったと潤んだ目で言われたとところで、この不快感は消えてくれない。
「な、なぎちゃ……」
「ふざけんな!」