たすけて!田中くん
***




「そこまで馬鹿だったんだね」

翌朝、昨日のことをざっくりと話すと田中くんは開口一番にそう言った。

その言葉が私の胸に突き刺さる。



「だ、だって」

「苺が嫌いだからって、普通不良グループの女の胸ぐら掴んで暴言吐く?」

「でもっ」

「だいたい、のこのこついて行くのも理解しがたいし、断るつもりだったんだよね? しかも穏便に解決したかったんでしょ」

その通りですと頷くと、田中くんの氷のような瞳が鋭くなっていく。ここまで呆れて怒っている田中くんは初めて見る。


「なのに、喧嘩売った?」

「は、はい」

「それを馬鹿以外の言葉で言い表す方法が見当たらないよ」

トドメの言葉とため息の攻撃に、私は机にぐったりと突っ伏す。

田中くんのいう通りだ。私はなんであんなことをしてしまったのだろう。



「うがぁ」

「うるさい」

「田中きゅん」

「きもちわるい」

私の日常が、今後どう変わっていくのかと想像するだけで憂鬱だ。今度はあの不良グループから目をつけられるかもしれない。




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