たすけて!田中くん
「真面目な話、早いとこ関わり絶った方がいいんじゃない?」
「そうしたいのは山々だけど……」
「煮え切らない返事だね」
顔を上げて田中くんを見ると、本を読み始めている。
……その本、そんなに面白いのだろうか。じっと見つめても、チラッとすら私の方を見てくれない。
「私のしたことって、まずいことなんだよね?」
「そうなんじゃない」
「不良たちの大事な女の子に暴言吐いた私って、仕返しとかされるのかな……大人数で来られるとちょっとなぁ……」
それにあの敦士って男は明らかにヤバそうなので、できればもう会いたくない。
田中くんの視線がこちらに向けられたので、これはチャンスと両手を組む。
ここは少女漫画のヒロインっぽく、可愛らしく言ってみよう。
「たすけて、田中くん! 私、ボコボコにされちゃうかもしれない!」
目をうるうるとさせて甘えた声で訴えてみると、田中くんは視線を外して黙って本のページを捲った。