たすけて!田中くん
そんなことを考えながら廊下を歩いていると、前方から派手な髪色の男たちが近づいてくる。
帰りたい。ものすっごくこっちを見ている。
確実に私をロックオンしているようにしか思えない。
回避したい。どうしようかと、考えながらゆっくりと足を動かす。
廊下は一方通行のため、選択肢は限られてしまっている。
全力で駆け抜けるか、引き返して逃げるか。
どちらにしても逃げる気ではあるけれど、あの人数から逃げるのは苦労しそうだ。職員室まで逃げれば、先生たちがなんとかしてくれるかもしれない。
「喜久本凪沙だな」
「えっ?」
目の前にいる男たちではなく、背後から声が聞こえてきて顔を引きつらせる。
振り返ると、派手な金髪で目つきの悪い男が後ろに立っていた。
いつのまにか挟まれていたらしい。
私はいとも簡単につかまった。