皇子の婚約者になりたくないので天の声に従いました
13.婚約おめでとう
 ポスッとマーティンは何かを抱きとめた。間違いなくそれはシャノンである。

 ――ナイスキャッチ。
 そんな声が心の中に聞こえる。

「シャノン。大丈夫?」
 シャノンは自分に起こった出来事を理解できていないのかもしれない。マーティンの腕の中、焦点の合わない目で雲に覆われた空を眺めている。

「大丈夫か?」
 とマーティンが優しく声をかけると、シャノンの瞳の形がかわりマーティンの目を見つめる。そして、ゆっくりと頷いた。

「怖かったよね」とミレーヌが言う。
「うん、怖かった」とシャノン。
「もう、大丈夫だ」とマーティン。

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