皇子の婚約者になりたくないので天の声に従いました
 隊長のくせにこういうところがダメなんだよな、とミレーヌは思う。でも、兄がいじけてしまうと今後の任務に影響が出るため、いじけないように兄の言うことをきくところがミレーヌの素直なところでもある。

「我が妹ミレーヌよ。回復魔法を使えるよな?」
 兄は問う。

「いいえ、使ったことがありません。私は騎士ですから。何を根拠にそんなことをおっしゃるのですか?」
 妹は答えた。

「いや、あの母上の娘だぞ? 使えるに決まっているではないか」
 兄が変な持論を持ち出してきた。

「その理屈でいけば、お兄様も回復魔法が使えることになります」
 ミレーヌのその言葉に反論できないマーティン。

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