皇子の婚約者になりたくないので天の声に従いました
 それも、あれのせいだろうな、と思う。 

「友達に誘われたのはいつだ?」
 マーティンが顔中にニコニコを浮かべながら尋ねた。

「ええと、十五の日です」
 ミレーヌが答える。

「わかった。それ以外の日で考えておこう」

「はい。お兄様とお出かけできることを、楽しみにしております。それから、あの……。第三騎士隊の皆様は、どうされていますか?」
 ミレーヌはあのことを思い出し、尋ねた。あのときの初めての回復魔法が気になっていた。

「皆、お祭りも控えていることもあって、ピンピンして動き回っているようだ。あのときの姿が嘘じゃなかったのか、と思えるくらいにな。ミレーヌのおかげで、我が第五騎士隊の評価はグッと上がった」
 グッとで、右手で拳を握る。

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