皇子の婚約者になりたくないので天の声に従いました
「第五騎士隊のお役に立てて良かったです」
 ミレーヌは上品に笑んだ。

「ああ、そうだ。ミレーヌの力は第三騎士隊にも第五騎士隊にも口止めをしておいた。魔導士がしたこと、ということにしてある。バレたら魔導科へ転科ということもありえるからな。騎士になりたい、というミレーヌの気持ちをふみにじるようなことはしない」

「ありがとうございます、お兄様」
 本当に兄は優しい。そうやって、妹の意向を汲んでくれる。

「もし、ミレーヌの力をばらすような奴がいたら、尻叩き千回の刑だ」
 それは、絶対に拒否したい刑だ。やられるような人が現れるとしたら、自業自得だと思うとともに、同情だけはする。
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