皇子の婚約者になりたくないので天の声に従いました
7.内緒のデート
 建国祭の期間が始まった。そして今日は、ミレーヌにとってエドガーと約束の日であった。何を着ていこうか、とか。どんな髪型にしようか、とか。悩んでいるにも関わらず、天の声は静かだった。仕方なく、侍女に手伝ってもらい、動きやすくてお祭りに適した服と髪型をお願いした。
 そしてミレーヌは、従者に祭会場の入口まで送ってもらった。送らなくてもいいと言ったのだが、それでは私が旦那様から、とかなんとか言われてしまい、渋々とそれを承諾した。だけど、帰りは友達と帰りますから、と言って、従者の迎えを断ることに成功した。
 実はそうするように、と、エドガーからの手紙に書いてあったのである。
 帰りは送らせてほしい――、と。

 シラク公爵と公爵夫人は仕事で不在である。あの屋敷にいるのは兄だけであり、その兄に見つかるといろいろ問題があるが、確か今日は、急遽仕事が入ってしまったとかなんとか言っていたような気がする。その兄が帰宅する前に帰れば、エドガーとの逢瀬もバレないだろうとミレーヌは思っていた。
 いやもしかしたら兄は、今日は帰ってくることができないかもしれない。それならもっと安心だ。

 エドガーとの待ち合わせは噴水の前だった。わかりやすい場所。待ち合わせとしては定番の場所である。
 いつもの騎士服ではないけれど、遠目から見ても彼だとわかった。どうやら、好みの容姿というものは遠目からでもわかるようにできているらしい。

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