皇子の婚約者になりたくないので天の声に従いました
9.わからない気持ち
 建国祭も最終日となった。最終日であっても、お祭りのにぎやかさというのは終わるまでは継続するものだ。
 マーティンは妹のミレーヌとお祭りに来ていた。
 こうやって、ミレーヌと並んで歩くことができるのもそろそろ終わりかもしれない、とマーティンは思っていた。どこか心が寂しく感じる。
 ミレーヌはエドガーのことをどう思っているのだろうか。聞きたいけれど、怖くて聞けないとはまさしくこのことか。もやもやとした気持ちを秘めながら、隣の妹の姿を見る。

 ミレーヌが幼いころから手をつないできたが、今では彼女のその手の皮も厚くなっていた。
 女性だから、体が小さいから、騎士団長の娘だから、そんなことを思いながら、彼女は毎日、剣を振ってきたのだ。それの結果がその手に現れている。

 自分の肩の高さよりも下に頭がある小さなミレーヌをじっと見ていると、彼女もこちらに気付いたのか顔を上に向けた。そして笑み「お兄様」と声をかける。

「どうかしたか?」
 自分の心の気持ちを隠すかのように、マーティンは妹に声をかけた。

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