皇子の婚約者になりたくないので天の声に従いました
「あ、ロビー隊長。約束、忘れないでくださいよ」

「約束? なんの?」

「我々に、誰か紹介してくださいよ。本当にこの仕事してから、出会いがありません。社交界とか、そんな場合じゃないですもん」
 右腕を目の前にかざして泣き真似をするアムラン。

「君たちさー。マーティンには結婚するなとか言っといて、自分たちはちゃっかり結婚しようとか思ってるわけ?」

「それはそれ、これはこれ。隊長は我々の憧れです。孤高の騎士なのです」

 勝手な理想像を押し付けられてしまったマーティン。そんな彼にちょっと同情する。それでもちょっと、ロビーは彼をうらやましいと思う。

 自分の弟になりたいと言ってくれる部下は、自分にはいるだろうか。

 隣に視線をやると、マーティンは何か考え事をしているのか、規則的に豆を食べていた。
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