皇子の婚約者になりたくないので天の声に従いました
「ミレーヌ」とルネはまた友の名を呼ぶ。
 ありがとう、とルネはミレーヌに抱きつく。これがルネなりの感謝の表現なのだ。
 ミレーヌは慣れた。恐らくシャノンも慣れていることだろう。

「あの、ミレーヌさん。本当にありがとうございます」
 シャノンも気持ちが落ち着いたのか、やっと声を発した。そして、頭をペコリと下げる。ふわふわの髪がふわふわと揺れた。

「どういたしまして」
 ミレーヌはシャノンに向かって、ニッコリと笑った。そうやって笑うことが彼女を励ますための一つの手段であるような気がしたから。

 三人はシャノンを真ん中にして、並んでベンチに座った。シャノンの服も乾いてきた。今日のような気候であれば風邪をひく心配もないだろう。

「あの、シャノン。私がこういうことを言う立場ではないとは思うのだけれど。その、ごめんなさい」
< 85 / 125 >

この作品をシェア

pagetop