皇子の婚約者になりたくないので天の声に従いました
 ミレーヌが頭を下げる。貴族と平民の争い、そのような感じがしたからミレーヌは謝ったのだ。

「ミレーヌさん。謝らないでください。その、ミレーヌさんのせいではないですし。それに、私の態度にも悪いところがあるのですから」
 教科書をしっかりと抱いたシャノンが言った。

「今年の魔導科ってさ。あの皇子の話があるからさ。なんかピリピリしてるんだよね」
 ルネが言う。

 そう、皇子のアレ。婚約者の話。優秀な魔導科の女子生徒からその皇子の婚約者が選ばれるという話。

 優秀、という意味では、シャノンが他の生徒よりも頭二つ分くらい飛び出ている。しかし彼女は平民であるし、特待生ということで学校に通っているのだ。
 シャノン自身は、その話にこれっぽっちも興味が無いらしい。
 これっぽっちという表現をしたのはルネ。右手の親指と人差し指を丸めて、ほんの隙間を作って表現してくれた。

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