辺境の獅子は瑠璃色のバラを溺愛する 2
サリーシャは笑顔で頷く。
サリーシャの覚えたての知識では、デニーリ地区は広いアハマスの中でも南部に位置しており、ここからだと王都に向かう方向だ。恐らく、馬車だと二日近くかかる距離のはずだ。
「そういえば、デニーリ地区は今年、バクガの被害が酷くて災難だったな」
セシリオがそう言うと、アルカンは肩を竦めて両手を上げて見せた。
「本当に、酷いものだ。おかげで小麦が大打撃です」
サリーシャは『バクガ』という言葉に聞き覚えがあった。たしか、セシリオと初めて城下に出掛けた際に、今年はバクガのせいで小麦の収穫が少なかったと言っていた。恐らく、害虫の一種なのだろう。
しばらく領地の近況について話を聞いていたセシリオは腕を組んで、ふーむと眉を寄せた。
「ここ最近視察にも行っていないな。今年は時間を見つけて行くとしよう」
「いつでも歓迎します」
アルカンは一礼すると視線をずらし、サリーシャを見つめた。