離婚するはずだったのに記憶喪失になって戻ってきた旦那が愛を囁き寵愛してきます
 ズキンッ、ズキンッっと頭が痛い。

「……ッ…… ウウッ…… 」

「蓮斗さん…… 大丈夫? 私がずっと側にいるわ」

 頭の奥の方でずっと、俺に優しく微笑みかけてくる、女がいる。

 俺は彼女の手を取り、身体を引き寄せ、キスを落とす。

 愛しい人の、名前を何度も呟く。

「……エナ……。 ……ナ……! 」

 グッッと、手を掴む感触を感じて、ゆっくり瞳を開ける。

 「……っ?!! 」

 お化け?!

 いや、死神か?!

 今にもヒビ割れそうに、厚く厚く塗られた白いファンデーションに、目元が真っ黒に囲まれ、これでもか、と付けられた上下に君臨する、バッサッバッサツのまつ毛。

 口元はショッキングピンクに彩られ、ギラギラに油を舐めて来たかの様にテカリ輝いている。

 目を覚ました直後に、真っ先に目に飛び込んで来た女の顔に心臓が止まるかと思う程、驚き、俺は絶句して声を上げる事が出来なかった。

 …… 仮装パーティーの予定はあっただろうか……?

 思考を巡らせるが、おかしな事に、頭に靄が掛かった様で、スケジュールが思い出せない。
 
 うん? 今日は何日……、いや何月だ?

 
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