離婚するはずだったのに記憶喪失になって戻ってきた旦那が愛を囁き寵愛してきます
「私はこのドレスが良いわ!」

 つけまつげに、濃いアイメイクをした、切長の瞳の女性が、衣装合わせに訪れた。

「お客様、こちらはウェディングドレスですので、今日のパーティーには、向いてないかと思います」

「知ってるわよ! 今日は私と蓮斗さんの婚約発表なんだから、これで良いのよ!! 」

 (あれ? …… 今日、レセプションパーティー以外の予定はなかったよね…… )

 「お客様、もしかしてお日にちをお間違えでは……? 」

 再度女性に確認する。

「間違ってないわよ! 今日のパーティーは社長就任のお披露目と、婚約者選びって聞いたもの。 私はね、社長のお母様から直々のお声かけで、彼の側にいるんですから」

 フフンッと、得意げに話す彼女を良くよく見る。

(あ、この人、社長秘書の……。 やけに綺麗な人だなぁっとは、思っていたけど、そうなのか……。 よくわからないけど、御曹司とかって政略結婚とか、レベルのあった家柄の人と結婚するって聞くしな…… 。 まあ、それはそれで色々大変なんだろうけど)

 でも、さすがにウェディングドレスはダメだよね……?

 ウーン…… っと悩んでいる私に彼女は金切り声を上げた。

「ちょっと、何やってるのよ! あなたは私に言われた通りにすれば良いのよ! 愚図ね! 使えないなら蓮斗さんに言って、クビにして貰うわよ!! 」

「…… 申し訳有りません、ですが…… 」

 再度、違うドレスを提案しようと口を開いた。
 
「もういいわ!! あなた下がりなさい!! 」

 真っ赤になって秘書は怒り出してしまった。

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