離婚するはずだったのに記憶喪失になって戻ってきた旦那が愛を囁き寵愛してきます
 細身の蓮斗さんから、どこに、こんな力があるのか不思議なくらい、力強く、ズンズンッと奥の部屋へ進むと、トサッっと、大きなベッドの上に落とされた。


 蓮斗さんは私に跨り、上着とネクタイをシュルッと緩める。

 その仕草に、ドキッとして、思わず声を上げる。

「はうっ……っ 」

(カッコイイ……ッ! )

 蓮斗さんは私の唇を、プニプニッと暫くイタズラすると、顔を近づけて来た。
 
「ま、待って! 」

 思わず、手でガードして、顔を背けた私に、蓮斗さんは、眼鏡の奥の瞳を仄暗く、揺らめかした。

「…… 嫌なのか? 」

「…… ち、違がくて…… 先に、シャ、シャワーを浴びさせて欲しいです! 私、汗臭いですよね…… 」

 目まぐるしい一日で、変な汗も沢山かいたはず。

「……ここは、譲れません! 」

 唇を尖らせて抗議する。

「…… 一緒に…… 」
「入りませんっ!! 」

 無の表情で、しれっと、恥ずかしい事を告げる蓮斗さんから、逃げる様にバスルームに駆け込んだ。


 





 
 
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